如月

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●2006年2月27日
先日のヒノキの板がコレになりました。50個の箱です。どうにか間に合った。50個と言うのはやはり多いね。 このように簡単な部類である箱でも、製作工程は数行程ある。1個につき3分しかからない行程でも50個だと1時間半。当たり前だけど 思い知らされた。しかしこういう無の境地での作業にも学ぶべき点は多い。学ぼうとすれば学べるし、そう思わなければ何も得られない。 どちらの心境でやっても、出来た製品には違いはさほど現れないかもしれない。以前木工所に勤めていた時のワシは後者だったろう。 しかし、今はまるで違う。こんな機会にこそより効率よく作業する方法、段取り、更には作業の姿勢や目線、呼吸なども考えながら やってやろうという気持ちになっている。我ながらこんな前向きな自分に驚く。小さくとも一国一城の主たる自覚が出てきたようだ。 よしよし!もしまた同じ仕事がもらえたら、必ず今回の製作時間を更新してみせる。(仕事もらってから言え)

●2006年2月23日

去年<階段箪笥>を納品させていただいたタケイシ邸にエミ氏とチビタも連れ遊びに行った。社員旅行だ。 ワシも家財道具が入ってからは初めての訪問である。もうここで書くのが辛いくらい素敵な家に変身していた。うらやますぃーっす! 「エミケン階段箪笥」を含めたこだわりの調度品に囲まれ、「休日は引きこもり」と言う事だが、さもありなん。 ワシもがんばります!
<階段箪笥>は納品時よりも木油のギラツキ感がなくなり、しっとりと落ち着いた雰囲気になっていた。 ちゃんとマメに乾拭きや木油塗布もしてくれているようで、この階段箪笥はきっと素敵に変化していく事だろう。
「おい、チビタ。これは父ちゃんが作ったんだぞ!よく見ておけよ。」
極上中華の宴、ありがとうございました。

●2006年2月15日

『エミケン』の隠れ登場人物(キャラ) エミリー です。彼女の仕事は、その常人の1/5という体型を生かし、1/5試作模型の 完成度を吟味することである。チビタは生意気にも尺度が1/2もあるし、更に三頭身という常人離れした体型のため、模型検査の役には 適さない。模型を壊させれば天下一品だが・・。
エミリーの今回の仕事は、<高背椅子>(highback-chair)。陶芸家の方から作品の展示用にと依頼されたものである。ゆえに座り 心地はそれほど重要ではない。座面は広めの平面にし、作品を置きやすくした。背板は板の模様を楽しめるよう一枚板。 ここに焼き物の素朴な一輪挿しでもぶら下げたら絵になりそうだ。材料はウォールナット。ウォールナット材はうねった面白い模様が 出るので、特に面白いものを探そうと思う。
椅子作りは機能だけでなく、他の家具に比べ見た目も重視されるので試作はかかせない。図面上であーだこーだやっても、チョロッと 試作を作ったときの「なるほど」感には遠く及ばない。結局試作をいくつも作った方が早いのだ。と言うわけで、エミリーの仕事も 今のところ椅子ばかりだ。ただエミリーはちょっと脚が長すぎるんだよね。もうちょっと日本人体型のハナコでも雇うかね。 (あるかな?)

●2006年2月14日

マキちゃん。もうすぐ机できるからね。ランドセルと椅子を毎日眺めて4月の入学式を待ちわびているんだろうね。 教科書ももうあるのかな?お友達の机に負けない、素敵な机をお兄ちゃん(おじちゃん不可)が作るからね。もう少し待ってておくれ。

●2006年2月13日

注文していたヒノキ材が来た。ちょいと面白い注文が入ってきたのだ。お風呂に入れて使い遠赤外線効果を得るという優れもの安打商品。 心臓部は特殊セラミックなのだが、これを入れる箱がヒノキ製なのだ。風呂にはやはりヒノキだもんね。 お許しがでたらここでも紹介させていただきます。

●2006年2月10日

FK1スラローム国体北海道代表のリカちゃん・・・こう書くとなんだかカッコイイね。訳すとカヤックスラローム女子一人乗りの選手、 のリカちゃんが新艇を組立てに工房に来た。チェコだかスロバキアだかから個人で輸入した船に、自分で座席や足置きを取り付けるのだ。 この取り付け位置が10mm違うと乗り味も大きく変わるのだ。11時頃来た。真剣にやれば小一時間で終わる作業なのだが、陽気も良く、 無駄話に花も咲き、リカちゃん差し入れ「福砂屋」のカステラをつまみながら渋茶などをすすっていたら、エミ氏とチビタも来て 更に盛り上がり、そこへ「弟子入り希望」の18歳の青年ワタナベ君が訪ねて来、更に『井上木工機』の井上さんまで参上して、 そりゃーもう大賑わいになってしまった。まったく仕事にならなかった。結局リカちゃんは16時半頃まで作業してたね。 楽しい一日だった。ご来房の皆様、ありがとうございました。またいつでも茶をすすりに来て下さい。

●2006年2月9日

このところウォールナット材の消費が激しい。自分が気に入っているので、ついお客様にも提案しがちになる。 このたび長さ2500mmという長い机の注文をいただき、在庫がないので慌てて北洋木材に問い合わせた。 ウォールナット材は亜米利加の材なので、製材寸法は「フィート」である。2500mmとなると8フィート(2400mm)では足りない。 辛うじて9フィートが4枚だけあるとの事。慌てて購入した。ついでに8フィート材と最も良く使うタモ27mm厚材を購入した。 材料がたくさんあるって、幸せだぁ。

●2006年2月3日

一人暮らしの女性のお宅に納品に伺った。皆様、こんな注文もできますのでご参考に。
職業柄多くの書物があるので書斎に本棚が欲しい。しかし、仮の住まいのために家具を特注するのはもったいない。 そこで、棚板だけ注文して、東急ハンズで購入した木の箱(約1000円/個)と組み合わせ棚にしたい。折角だから棚板はいい物にし、 将来この板で食卓を作りたい、というご要望でした。
素晴らしい!聡明!安易に安物のカラーボックスで済まし、醜い環境で生活することを選ばず。かと言って、 無駄になる可能性のあるものに大金を払わず、しかしながらお気に入りの空間で生活が出来る。「頭は生きているうちに使え」。 かの福沢諭吉先生も言っていたではないか(ウソ。いや、一度くらい言ったかも。)。
ということで、棚板はウォールナットで製作。もちろんきれいに面を取り、木油を塗りこみ磨き上げた本格仕上げ。 将来食卓に改造する際削り直することになるので、板圧は厚めの33mm。30mm厚の食卓天板になるだろう。 結局写真のような素敵な棚が完成した。さすが、感性の良い人が選んだ箱だけあり、まるで違和感がない。 皆様もお試しあれ。


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